ピアノは身近な楽器として多くの人に親しまれています。
多くの教育機関で一台以上見かけることが一般的です。
多くの人が教師が演奏する姿に憧れを持つかもしれません。
しかし、ピアノに関する知られざる事実や興味深い歴史が存在します。
今回は、そのようなピアノの豆知識を紹介します。
ピアノの名称の由来
ピアノという言葉は今では短く親しみやすいものですが、元々は「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」という長い名称でした。
これはイタリア語で、「強弱の効いたクラヴィチェンバロ」という意味です。
クラヴィチェンバロはピアノの前身とされ、初期の楽器は強弱の表現ができなかったと言われています。
時が経つにつれてこの楽器は進化し、「ピアノフォルテ」と略され、現在の「ピアノ」となりました。
今日でも楽譜で「pf」と表記されることがあります。
音の生成のメカニズム
電子ピアノやキーボードは電気を使って音を出しますが、アコースティックピアノ（グランドピアノやアップライトピアノ）はどのようにして音を出しているのでしょうか。
これらのピアノは多くの弦と鍵盤に連動したハンマーがあり、弦を叩くことで音が生まれます。
ピアノは鍵盤楽器でありながら、弦楽器や打楽器の要素も併せ持っています。
弦の長さは音の高さに応じて異なり、低音の弦は長く、高音の弦は短くなっています。
グランドピアノの特徴的な形状は、弦の長さに合わせたものです。
アップライトピアノも構造は同様で、弦が縦に配置されています。
次にピアノを見る機会があれば、その構造を観察してみてください。
大型のコンサートホールで見られる大きなグランドピアノは、その長い弦によって豊かな響きを生み出しますが、その価格も非常に高価です。
ピアノの鍵盤
ピアノは多様なモデルがありますが、通常のアコースティックピアノには88の鍵盤があります。
この中で黒鍵は36、白鍵は52です。
鍵盤の黒白配色について、他の色ではなく、なぜこの組み合わせなのかと疑問に思ったことはありませんか？
実は、ピアノの初期には鍵盤の色が現在とは逆で、白鍵には象牙が、黒鍵には軽い黒檀が用いられていました。
これにはいくつかの理由があるとされていますが、視覚的なインパクトも一因でしょう。
現在の色合いに変わったのは、見た目の美しさや象牙の豊富な使用が理由とされています。
3つのペダルの役割
ピアノには3本のペダルがあり、それぞれ異なる機能を持っています。
一番右にあるダンパーペダルは、最も頻繁に使用されるペダルで、これを踏むと鍵盤から手を離しても音が持続します。
これにより、複数の音を同時に響かせることが可能になります。
左側にあるシフトペダル（ソフトペダル）は、グランドピアノではハンマーの位置を変えて弦の数を減らし、音量を抑える効果があります。
アップライトピアノでは、ハンマーが弦に近づくことで同様の効果が得られます。
中央のペダルは、グランドピアノではソステヌートペダルとして知られ、特定の音を持続させたい場合に使用します。
一方、アップライトピアノではマフラーペダルとして機能し、フェルトを介して音を弱めることができます。
これは特に音量を抑えたい環境で役立ちます。
電子ピアノでは、ペダルが左右2本のみのモデルもあり、ヘッドホンを使って無音での練習が可能です。
ピアノの持ち運び
ピアニストが世界中で演奏を行う際、ほとんどの場合、その会場に備え付けられたピアノを使用します。
バイオリンなど他の楽器と違い、ピアノはそのサイズと重量から自らの楽器を携帯するのは一般に困難です。
さまざまなピアノがあり、同じモデルであっても、日々の使用状況や調律の具合、さらには気温や湿度によって鍵盤の感触や音の出方は異なります。
そのため、ピアニストは本番前のリハーサルを通じて慣れないピアノに適応し、演奏の質を高めるための微調整を行います。
しかし、ヴラディーミル・ホロヴィッツやアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリのように、自身のグランドピアノを各地に持ち運ぶ例外的なピアニストもいます。
これには大掛かりな物流と高額な費用が伴いますが、彼らの音楽へのこだわりからは目を見張るものがあります。
ト音記号の起源
多くの楽譜に登場するト音記号について、その「ト」が何を意味するのか不思議に思ったことはありませんか？
「ト」は音階の「ソ」を指し、この記号は音階の中で特定の位置、「ソ」の音を基準にして描かれます。
ト音記号は五線譜上で「ソ」の位置に小さな円を描く形で記され、「ソ」の音を強調しています。
この記号が「ト音記号」と呼ばれる所以です。英語ではこの音を「G」と表記するため、G clef（ジークレフ）または、高音域を示すTreble Clef（トレブルクレフ）とも呼ばれます。
これに対し、中央のドを基準にしたヘ音記号や、ハ音記号もあり、それぞれ特定の楽器群で用いられます。
まとめ
ピアノや音楽の奥深い知識を持つことで、演奏や練習がより一層楽しく、意義深いものとなります。
現在練習中の曲の背後にある作曲家のエピソードや歴史を探ることで、新たな発見があるかもしれません。
